9/3

9/3 「あの世のできごと」揺れ動く室野井さんの、壁に写る大きな「影」と高橋さんの「音」の相性は絶妙だったと思います。しかし個人的には空間を埋める音の方に気持ちを奪われることが多かった。距離が離れている分、分離してる気もしました。でも、室野井さんから伝わる緊張感が支配する空間はいつも素晴らしいと思います。
工藤冬里、工藤礼子」全曲今まで聴いたことのない曲だったのが嬉しかった。冬里さんのピアノと礼子さんの歌、ということで雰囲気は「fire inside my hat」。礼子さんの声は冷たい感触でとてつもなく美しい。懐かしさも感じさせ、そしてまるで別世界のできごとのような幻想的な空間を演出する詩、声、ピアノの響き、その隙間、そして曲間にまで伝わってくる二人の説得力。完璧な空間。震えました。なかでも「海の端」という曲の美しさは。。。
むかし まちあわせた あのしまへ いまは ひとりでめぐる うみのはた 
いずみのように わきでては くものように ひいてゆく 
かなしみは きえていく あなたと手をつないでる 
かなしみは きえていく あなたと手をつないでる
「ビルウェルズ、工藤冬里、工藤礼子」ほとんど冬里さんの音と予測不能な動きが目立っていたが、地味だとしても、コントロールしてるのは作曲者であるビルウェルズ。今までのツアーではほぼ、マヘルのメンバーによるビッグバンドの構成だったらしいので、この札幌公演ではビルウェルズの色がしっかり出ていたのかも知れません。ビルの作曲した曲のどれにも彼なりの哀愁が溢れていて素敵でした。工藤さんのピアニカやクラリネットがそんなビルの世界に少しだけ色を加えていて、動きに目を奪われがちですが色を加えつつしっかり寄り添っている音を聴かせてくれたと思います。礼子さんが歌った2曲も名曲でした。全体的にビルのナイーブな世界がしっかり伝わってきて、よかったです。